D for DELTA / Conversation

クロスカントリー誌に掲載されたEN認証に関する2つの記事の要約です。

共に現在の認証基準の矛盾と機体選択の問題性について興味深いものです。

正しい機体選択のためのヒントとなればと思います。

以下は最新号の記事「D for DELTA」と今年2月号掲載の「Conversation」。

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 CC誌165号 2015年11月 「デルタのD?」

イカロカップの展示会場でメーカーやデザイナー、そしてパイロット達と話してみて、ENによるパラグライダーのテストとカテゴライズのシステムに厳しい目が向けられていることが明白になった。
以前は、EN-Aは初心者用の翼、EN-Dは高性能なクロスカントリー用の翼、と簡単に考えられてきたのだが、現在、新しく、いささか込み入った現状がPG市場で見受けられるようになった。
まず、基本的に機体カテゴライズの表示レベルが下がってきた。以前ならEN-Dだったものが今ではEN-C認定となり、「ハイエンドのEN-B」カテゴリーはもはや境界を押し上げてしまっている。新人パイロットに勧めることができるのは、EN-Bではなく、EN-Aの翼になってきた。
しかし、中には逆の動きを行く翼も出てきている。本来のEN-B機やEN-C機でEN-Dカテゴリーへ繰り上げされそうなものがある。そしてパイロットたちは混乱し、メーカーは多くの説明をする必要に迫られることとなった。

スイート グライダー;イカロ社のシッタは、「EN D クラスの中のEN B 」

ICAROパラグライダー社のブースでコーヒーを飲みながらスタッフと話し込んだ際に、彼らは胸を張ってその最新軽量機、シッタを紹介してくれた。この軽量機に軽量ハーネスというパッケージでは5㎏を切り、真正面にレクレーショナルパイロットを対象とし、「ファンフライング・・・テイクオフのイージーさ・・・スイートなハンドリング・・・」全てが、確かな安全性、安定性、楽しみを求めるウイークエンドパイロット達の市場を対象とする翼であることを意味していた。しかし話の終わりの方で、EN認定のことになると流れが変わった。
えっEN-D機なんですか?
ええ、そうですよ。ICAROスタッフは続けた。「素晴らしいスイートなハンドリング、それによる最高にファンな機体を、EN-AやEN-Bの認定のために中途半端に仕上げたくなかったのです。」この機体は、認定テストで、スパイラルからのエグジットで唯一のD評価を受けている。「この機体でスパイラルから出るためにはしっかりした操作が必要ですが、このタイプの機体で飛ぶパイロットにとっては問題ではないと考えています。」これ以外の、つぶれなどでのテスト評価はすべて「EN-AかEN-B」となっている。
ICARO社はハンドリングを抑えてしまうよりも、D認定のままとし、「EN-Dが必ずしも高性能機を意味するわけではないということをパイロットたちに説明していく」道を選んだ。ICAROはこの夏、ドイツはケッセンでのフライングフェスティバルでシッタを発表し、多くの素晴らしい評価を得ている。「でも、たくさん説明させられましたけどね!」

ICARO社がEN-D認定のままで行く話を、オゾン社のブースでしたときにマイク・カバナー社長は驚きを隠さなかった。「それはとても勇気のいることですね。」本当はEN-Bの機体をEN-Dとして販売することの営業上の難しさは想像するまでもない。
オゾンは昔から、EN制度はパイロットのためにならないことがよくあり、どんな機体かということついて誤った全体像を与えることがある、という意見だった。しかし、好むと好まざるとにかかわらず、皆、この制度とともに動いている。とは言え、最近行われたテスト方式に対する変更はオゾンをさらにいらだたせるものとなった。
テストでの引き込みラインの使用禁止は、現在オゾン社で進んでいるデルタ3の開発にとって問題となった、とオゾン社のデザイナーであるダブ・ダゴートは説明する。
引き込みラインとは、EN認定のつぶれの項目のテストを行うために、メーカーがAラインのセットにさらにラインを加えて機体の前へ取り付けることを許されているものだ。これは、機体設計の進化によって数年前から使われ出し、それとともにAラインの取り付け位置は前縁から遠く離れて後退し始めた。認定テストで引き込みラインを使用せずに望んだとおりのつぶれを正確に再現するのは困難になってきている。
オゾンは最初のデルタで、引き込みライン使用の先駆となっている。その使用についてはメーカーの間で意見が分かれ、結局のところ、引き込みラインを使用してテストされた機体は、これからは全てEN-D認定となるという規則が承認されることとなった。

D for DELTA

このことは、オゾン社を特に困惑させている。それは、人気の高いスポーツクラスの機体の開発に影響すると感じているからだ。デルタ2も、規則変更の前に引き込みラインを使用してテストされ、C認定を受けている ダブは言う。「今でもこのクラスで最高の機体だと思います。皆、とても気に入ってくれています。」ダブの言いたいのは、アスペクト比6.0の3ライナーで最高の機体という意味であり、最近になって移入してきたもっと競技機的な「古いEN-D」を含めたEN-Cのクラスということではない。
オゾンが直面している問題は、デルタ3では引き込みラインを使用してのテストの必要性が高いため、新規則の下では全てのデルタ3が自動的にEN-D認定となるということだ。引き込みラインを使用せずに機体をテストする方法もあるが、オゾンによれば、それでは決して良い機体作りはできない、とのことで、そういった方法をとろうとしていない。
「これはXCパイロットのためのスポーツクラス機なのです。」と、ダブは説明する。「デルタ3の開発では、彼らにDカテゴリーを押し付けるような機体を作る気はありません。」理由は簡単だ:パイロット達はD認定の機体で飛ぼうとはしないだろう。また、EN-D機となったデルタ3で大会に出ようとすると、EN-Dクラスの大会に出ると言うことになり、はるかに高性能なEN-D機との戦いで不利を強いられる。

では、一体どうすれば良いのだろうか?一つの答えは、メーカーが「多くの説明」を行い、パイロットがそれをしっかり聞く、ということだ。もう一つの答えは、EN制度の再度の変更だ・・・しかしこれは大きな船が向きを変えるように時間がかかることである。また、思わぬ結果が生じてしまうだろうということも間違いない。
もしも大会でのカテゴリー分けが変更されて、ENカテゴリーに代わってアスペクト比で考慮されるようになれば、少しは良くなるかも知れない。少なくとも大会やオンラインXCリーグの場がより公正なものになり、パイロットへのプレッシャーも少しは軽減されるだろう。
いずれにしても、この問題はすぐには解決されない。「本当はEN-B」のEN-D機があなたのフライトエリアに来たら、よくご覧あれ。

 

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クロスカントリー誌Vol157 2015年2月「カンバーセーション」より抜粋

この5年の間にパラグライダーの設計技術に革命が起こった。それは、プラスチックロッドの導入であり、さらに洗練が進んだライン配置、3次元のパネル製作技術、そしてよりクリーンな翼型などだ。その成果は、より高性能で、飛びやすく、つぶれに強い翼となった。数年前ではコンペパイロットにしか与えられなかった性能を、今では誰でも手に入れることができるのだ。
その結果、以前よりも高性能な機体が当たり前にEN-Cを取得するようになり、なかにはEN-Bを取得するものさえある。これらは「より安全な翼」であり良いことだが、それが意味するところが何であるかをめぐるパイロット教育が、しばしば欠落してしまっている。
スクリーンショット 2015-10-30 18.12.50 一例をあげると、2013年にジンがカレラを登場させた時、それは明らかに、よくクロスカントリーを行うパイロット向けの高性能機、という市場での位置づけだった。この機体はEN-Cの機体となるべく設計されており、高いアスペクト比を持っている。(6.2と言う数字を、デルタ2が6.0でEN-C、シグマ9が5.85でEN-C、あるいはメンター4が5.43でEN-Bであるのと比較してみると良いだろう。)しかし、EN-Bを認定された。このとき、設計者のジン・セク・ソンは、このことに注意を発し、この機体はあくまでも経験あるクロスカントリーパイロット向けであり、初級者や飛行時間の多くないインターミディエイトパイロットには購入して欲しくない、と主張した。
しかし、結局、何が起こっただろうか。市場における「Bクラスの中に入ったC」という位置づけは正しいかもしれない、しかし、それは何人かのパイロット達が不相応な乗り換えを行う事を防げず、結果、彼らは自分たちの手に負えないことを知り、怖い思いをする者も出た。
さかのぼって考えてみて、ジンは設計に手を入れてEN-BではなくEN-C認定の機体にすることは考えなかったのだろうか?「良い質問ですね。」ジンは答えてくれた。「当初の設計目標はCクラスでしたが、驚いた事にEN試験が終わって見ると、Bとのことでした。でもこれは飛ぶことに関して「
Bパイロット」用だということではありません。私はずっと、この機体はクロスカントリー機であってビギナー機ではない、という事を言い続けています。」

「アスペクト比の低い機体は、あらゆる点で許容度が高いものです。例えば地上でも、アスペクト比の高い機体はその短いコード(翼の前後の弦長)のために、インフレーション(立ち上がり)が早くなります。もしもパイロットがこれをコントロールしきれないと、風の強い日には、高アスプクト比の機体は前へシュートしてつぶれてしまうことでしょう。そしてこれは空中でも同じ事で、機体に挙動が出たときに、パイロットの反応が追いつかないと問題となってしまうのです。」
こう言った事はカレラに限った話ではない。これらは、設計技術の進化(これは良い事だ)によって出来た細長い翼が、パイロット教育においてギャップを生じさせていると言う事である。
ようやく大切な話に入る事ができそうだ。つまり、パイロットは機体の選択において、その機体の特性をもっとしっかりと理解しなければいけない、と言う事である。ENのクラス分けへの信頼はもはや十分なものではない、それどころか今ではその重要性は低くなっている。

スクリーンショット 2015-10-30 18.15.40 フィリップ・メディカスが設計を務めるノバ社では、アスペクト比について明確な基準となる考えがある。「メンター4について、その開発以前からすでに(前作メンター3に対して)アスペクト比を増やさない、と決めていました。」アスペクト比5.4は「定められた値」だと言うのだ。
何故か?「それは、要求度、つまりパイロットへの負担と飛びやすさだからです。もちろん、他にもいろいろな要素が絡んでくるので、アスペクト比5.0の機体よりも要求度の低いアスペクト比5.5の機体はあるでしょう。しかし、ここで言いたいのは、アスペクト比はパイロットへの要求度を語る上で、重要なパラメーターの一つである、と言う事です。」
EN-Bを取得する高アスペクト比機を設計する事は可能だが、それは「現実世界のフライト」においては「スタンダードな」つぶれにはならない、と彼は言う。「パイロットが遭遇する乱気流はいろいろであり、この現実世界においては、アスペクト比の低い機体の要求度は常に低い傾向にあるのです。」
彼の説明は続く。「高アスペクト比の機体は、いろいろな乱気流に対してパイロットの適切な反応を必要とします。低アスペクト比の機体は、たいていの場合、高度があるときは何もしなくてもOKですし、もし高度が無くて横のつぶれが生じた場合でも、つぶれの具合に関係なく99%は、ちょっと反対側のブレークを引いてやればOKです。」
「アスペクト比が高くなればなるほど、パイロットの理解力が求められ、より精確な反応をしなくてはならなくなります。そんな2、3のスタンダードな反応だけでは役に立たなくなるのです。」
全ての設計者と同じくフィリップも、いかなるクラスの機体についても「完璧な」アスペクト比がどれくらいか、と言う数字は出そうとしない。考慮すべきパラメーターは数多くあり、アスペクト比は重要なものとは言え、その一つに過ぎないからである。「パラグライダーの設計技術の進歩によっていつの日か、アスペクト比7.0で飛びやすい機体が出てこないとも限らないじゃないですか?だから具体的な数字はあげられないのですよ。」
それでも彼は大きな流れにおいて、例えばメンターのアスペクト比が大幅に増やされていく事は無いだろう、とみている。「もちろん、性能をちょっと上げるためにアスペクト比を増やす誘惑に駆られる、なんてときもあるでしょうけどね。」
「でも、メンターシリーズ成功の理由の一つが、アスペクト比を変えなかったことなのです。予想がつくし、パイロットは購入する機体の事をわかっていられるからです。メンター4はメンター3と全く異なる機体であってはならないのです。」

フィリップは言う。「アスペクト比が高くなれば、それだけパイロットに精確さが求められます。そして次に起き得るすべての異なる状況に対してより明確に察知していなければなりません。」これはまず離陸から始まる。「イオン(EN-B、アスペクト比5.09)で飛ぶと言うのでしたら、離陸はフォワードでやってもリバースでやっても変わらないでしょう。しかし高アスペクト比機の離陸技術では、翼端が前進してしまうと言ったような異なる要素へ対処する必要があり、これは空中でも同じ事なのです。イオンでのサーマリングでは、内側のブレークを少し引き、外側のブレークをそれより少なく引いている以外に行う必要は無く、これで1000m上がっていきます。高アスペクト比機でサーマルを上手く拾っていくにはもうちょっと作業が必要になってきます。」
これはつぶれに対しても同様だ。「高アスペクト機でフロントコラプスを起こしたら、ただちに翼を見上げて発生している事に対してすぐに対応していかなければなりません。少なくとも私はそうしています。これは、翼中央よりも先に翼端が飛び始めようとすることが多いからで、もしパイロットが即座に適切な対応を取らなければ、クラバットに発展してしまうでしょう。」
適切な対応とは「ブレークを引くこと!」と彼は言う。「SIV(湖上つぶれシミュレーション演習)に参加して、自分の機体をフロントコラプスに入れてみれば、このことがとても良くわかるし、翼を止めるためにどれくらいブレークを引くべきかという感覚を養う事ができるでしょう。」
さらに続けて「もし同じような状況に陥っても、メンターやイオンあるいはスーシーと言ったアスペクト比がかなり低い機体では、しっかりした安定性を持っているので、こう言ったテクニックはパイロットに求められずにすみます。」
つまり、大きな目で見て、高アスペクト比の機体でちゃんと飛ぶためには「より精確で、深い理解と高い意識」が求められるのである。

・・・

スクリーンショット 2015-10-30 18.13.11設計技術の発展により、特にEN-Bクラスでは今や様々な機体であふれかえっている:例えばそれはアスペクト比5.09のノバ社イオン3からアスペクト比6.2もジン社カレラに渡っている。このことはパイロット達が乗ろうとしている機体を理解する事を難しくしている。「ハイエンドのB」「中間レベルのB」「ローレベルのC」といった話し方もあるが、これも良く言って大雑把、悪くすればかえってわかりづらい。アスペクト比を見ることは、その機体で飛んだときに機体との「会話」をどれだけ楽しめるかを教えてくれる方法のひとつである。

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